2012年5月8日火曜日

【参加報告:大塚さん】Entrepreneurship Bootcamp 2012に参加して


こんにちは!「ブレークスルーキャンプ by IMJ」運営事務局 宮本です。

先日、スタンフォード大学で行われた Entrepreneurship Bootcamp(以下、E-Bootcamp)
IMJインベストメントパートナーズではこの取り組みをスポンサードし、多くの方々から選抜された、早稲田大学 オリィ研究所の吉藤健太朗さん、東京大学都市工学科4年(休学中)で株式会社コールボードCEOの大塚淳史さんのお二人に、日本代表としてご参加頂きました。

昨日は吉藤さんからのご報告で、本日は大塚さんからの報告です。
ご覧ください。




-----------------------------------------以下 大塚さんからの寄稿-----------------------------------------------



Stanford E-bootcampで世界を知る



◆Stanford E-bootcampとは

4月10日から15日まで、米国スタンフォード大学でE-bootcampが開催された。

E-bootcampとは優秀なビジネスプランの発掘やネットワークの構築を主な目的とした、スタンフォード大学で行われるプログラムで、毎年セコイア・キャピタルといったシリコンバレーのVCと全米の優秀な学生起業家が一同に集まり短期間で盛んな交流が行われる。

今年からは米国だけでなく世界各国からも優秀な起業家を集めて開催することが決まり、スタンフォード生20名、その他米国の起業家50名、世界から30名、計100名の起業家がスタンフォード大学に集結した。


自分はBoardというFacebookやTwitter、Pinterestなど全てのソーシャルメディアを統合して人々を興味によって繋げるサービスのCEOとして、日本代表2名のうちの1人に選ばれて参加してきた。




◆世界各国の起業アイディア

E-bootcamp2012を通して世界中の起業家と交流して様々なアイディアや戦略に触れることが出来たので、幾つか紹介したい。


①スリランカの起業家

彼は10歳の時に起業し、現在は茶と天然ゴムの輸出業を営んでいる。
スリランカの起業家賞を総なめにしている生粋の起業家だ。
ファックが口癖の生意気だけど憎めない少年である。

カメラを渡したときに勝手に自撮りしていた写真


②フランスの起業家

元情熱的なミュージシャン。
ある時、路上ライブをオンライン化出来ないかと閃き、音楽家が自分の演奏をリアルタイムで聴いてもらえるプラットフォームを開発した。
いつもけだるそうに煙草を吸っている時間にルーズな人だが、移動をよく共にしていたので仲良くなった。                                      

ツーショット写真の切り抜きから


③ナイジェリアの起業家

彼はGoogleとGoldman Sachsの2企業からオファーを受けている優秀な起業家で、教育分野で2つの会社を起こし現在2社のCEOとして活躍している。

生徒と教師、学校が気軽に意見交換出来るプラットフォームと、アフリカで教育を受けられない子供に無償でオライン教育を提供するサイトを運営していた。

「人と人を繋げる」という共通の興味と共通の野心によってすぐに仲良くなれた。
彼はFacebookでは、Myspaceで聴いている音楽を垂れ流しまくっているので、音楽の趣味も割りと合うことも判明。

背が高く、スーツが良く似合う


④米国ハーバード・ビジネススクールの起業家

「既存の出会い系はクソ」という衝撃的な言葉でプレゼンを始める彼女に自分は衝撃を受けた(笑)
大学院生専用の6人合コンセッティングサイトを運営していて、「何より自分達自身が切実な顧客だから何が求められているか誰よりも熟知している」という言葉も衝撃的だった。

ショッピングな起業家だった

他にも、インド、アルゼンチン、ノルウェー、シンガポール、ドイツなど世界中の刺激的な起業家の話を聞き、感じたトレンドの1つは「友人以外の人と人のマッチング」である。

既に述べたもの以外のアイディアとして、ギリシャの農家と消費者を繋ぐサービス、シンガポールのユーザー同士の物々交換サイト、なども印象的だった。




◆E-bootcamp2012で得た5つの発見

今回参加したE-bootcamp2012でスタンフォード生や世界中の起業家と交流し、
様々な衝撃的な気付きを得ることが出来た。


1.アプリで一発当てようと考えている人が多いか?→そんなのリスキー過ぎる

「スマホのアプリが流行るかどうかなんて完全に水物でゲームと一緒。超ローテクなInstagramなんてマグレだしそれよりも攻めるなら圧倒的な専門知識や技術力で勝負出来る分野で攻めたい。例えばセキュリティとか。」

というアンの話は過激かもしれないが、今やスマートフォンのアプリは誰もが手軽に作って公開出来る時代で、アプリ制作会社が乱立しているので、もうその時点で差別化が難しい。

スマホアプリは激戦区であるということは認識しておいた方が良い。

同じ部屋で暮らしていたスタンフォード生、アン

しかし技術力やデザイン力が生かせてないアプリもまた乱立しているので逆にチャンス、という見方をしている人も、勿論いる。



2. Facebookはいずれ廃れるか?→今や完全にインフラ

アメリカのFBの浸透具合、使いこなしレベルは半端ではない。何かあると直ぐにグループ立ち上げて状況をシェア、連絡、チャット。

並んでいる時も皆FB見ているしニュースもお得情報も全部 FBからだし、
インターネット=FBってくらい浸透している。

一部で騒がれているソーシャル疲れなんて、時代の大きな流れの一時的でしかも非常に小さな反動でしかないし、次世代に来るものはソーシャルを殺すのではなく生かしたものであるし、水道や電気が廃れないように、もはや社会基盤と化したFacebookも廃れることはないと確信した。





3. 勉強への意欲が全然違うか?→そうでもない。ただし言語習得欲は異常。

宗教、文学、政府、生命科学、量子力学、等あらゆる分野の本を読んで広範囲の知識の習得に励んでいるのは日本の学生と大して変わらないが、唯一明らかに違うのは言語習得への異常な意欲である。

スタンフォード大学では3カ国語話せて当たり前、その先からが自慢になると言うから驚いた。英語を話せると凄いとなる日本とは明らかな違いで、ここが日本のグローバル化の鍵かもしれないと考えた。

世界トップクラスの人材になる為には複数言語習得が必須な様だ。



4. 日本はコネ社会で米国は実力主義か?→米国こそが真のネットワーク社会の学歴主義

渡米前、日本はコネの威力が凄い社会であるのに対して、米国は大リーグの様な完全に実力主義の社会なのではないかと思っていたが、全く違った。

米国こそが真のネットワーク社会であり、コネ(彼らはコネクションではなくネットワークと呼ぶ)は成功の必須要素だと捉えられている。以下、少しの例を挙げる。


・スタンフォード大学に入るとネットワークが勝手に手に入るので会いたい人にはだいたい会える。(寮生の発言)
・ネットワーキングという名の交流パーティがある。 
・シリコンバレーのベンチャー企業には「コネ作り」の役割の人がいる。彼らはたいていスタンフォード生など高学歴のアルバイトで、主に飲み会で会社を売り込みいつの日か役立つであろうネットワークを前もって構築することを仕事としている。 
・ネットワークや学歴が大きな差となる。能力がある、努力するのは当たり前(寮生の発言) 
・日本人は人間関係で物事を成し遂げるのが下手。だから外交も弱い(寮生の発言)


更に彼らは成功は自分のお陰ではなくそのネットワークのお陰だと、心の底から感謝している。

だからこそ彼らは自分を支えてくれた社会に対して積極的に寄付をするのだと分析した。


翻って日本では「大学で人生決まるのはおかしい」「東大に入ったからって」という発想を誰もが持っているので、日本は米国よりも実力主義で逆転の起こりやすい社会なんじゃないかと感じた。



5. 世界を狙うなら米国で起業すべきか→日本の学生は日本がベスト

起業家とVCがいれば起業は成り立つし、今日本では急速にVCの体制が整ってきているので、日本人は既にいくらかの人脈基盤のある日本で起業するのが一番良いと考える。

米国で起業するなら、既に米国にネットワークがあるか、スタンフォードなどの一流大学に留学しないと、刺激くらいしかメリットが得られないだろう。

そしてMicrosoft、Apple、Google、Facebookに続く存在は、Y Combinatorなどの起業学校が乱立する米国からではなく、いよいよ起業家精神溢れる起業家の多い米国以外の国から現れるだろう。いつの時代も革命的な存在は予想外の場所から彗星の如く現れるのだから。



◆自分の意見

「Think globally, Act locally」 「左手には夢を、右手には職を」


長期的な野望と目の前の課題のバランスが大事だ。夢のない人は魅力に欠けるし、夢しかない人は頼りに欠ける。日本には夢だけで無策無謀な人と、夢もやりたい事もない人の両極端が多い気がする。

自分は割と根拠のない野望を根拠もなく追いかける前者の方だが、今回参加したE-bootcampで様々な現実を見たことで、一つ成長することが出来た。

より目の前の課題、地道な行動、日々の人々との出会いを重要視する様になったのだ。



「Think globally, Act locally」


この言葉を最後まで読んでくれた方には送りたい。




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